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相続について少々・・・ [相続手続の話]

 実は一昨日、友人のご家族に不幸があり、早上がり&日帰りでお通夜の方に出席させていただいたのだが・・・

 数年前に父親を亡くした私としては、これから色々と大変だろうな、と思うわけで・・・

 ただ、喪主を含め家業等をすべて弟に押し付けたダメな長男の私としては、偉そうなことは言えませんが(^_^;)

 この友人とは別の知人からも先日、久しぶりに電話を貰いまして・・・
「相続」について、相談、というほどではありませんが・・・他に適当な言葉がないな(^_^;)
 相談を受けました。

 こんな仕事をやっていると「相続」について、あれこれと聞かれることが結構あるのですよね。

 ただし、微妙なトコロは・・・

 行政書士も相続手続きには、ある程度までは関わることはできるのですが、最終的には、それが税務に関するものであれば税理士。年金手続きであれば社会保険労務士。
 土地他建物の「名義」について変更の「登記」をするのであれば司法書士。
 そして、裁判所への手続き、となれば当然弁護士、と。
 他の「士(さむらい)業」の職分となります。

 「業として」行うことはNG、ってことです。

 でも、一般の方には「士業」の「職域」の問題って中々分からないので(^_^;)
 「浅く広く」の行政書士にお問い合わせが来たりするわけだ(^_^;)

 実際に「相続を証明する書類」である「相続関係説明図」「遺産分割協議書」はこちらで作成して、登記の申請は司法書士に依頼、というカタチで手続きをする、と。
 知り合いの司法書士、元の勤め先の関係ね(^_^;)
 
 他の手続きについても同様に、法に則って当該の「士業」に依頼。 

 ただ、こういう形式を嫌がる「先生方」もいるらしいので(あくまで風の噂ですが^_^;)、「コネクション」は大事だと思います(^_^;)

 また、話が本題から逸れそうです(>_<)

 亡くなった方の財産の処分については、生前の故人の意思が尊重されるのが本来の姿であり、望ましいカタチなのですが・・・
 いくら生前「その意思を表していた」としても、それが法律の定める「遺言」の要件を満たしていなければ、それは「故人の意思」としては認められないわけです。

 このへんの話は何度か書いてますけど、日本は「言霊(ことだま)の国」です。
 何をいきなり、と思われるかもしれませんが(^_^;)
 「相続手続の話」ではなく「その他法律の話」のカテゴリーで書いたのかな(http://daisyoya-yossy.blog.so-net.ne.jp/2009-10-15
 大雑把に言うと「縁起でもない話」をしちゃダメ、って空気(^_^;)
 「オヤジ死んだら財産、どうすんの?」
 なんて口にしたら大ヒンシュク(>_<)
 「お前、俺が早く死んでほしい、早く財産欲しいと思ってんのか!」
 と怒られる、という。極論ですが(^_^;)

 でも実際、そう言う感覚、というか慣習が色濃くあることは事実ではないですか?
 本人が自発的に行わない限り、周りから
 「万が一のことを考えて遺言作っとこうよ」
 なんて言えない雰囲気(^_^;)
 最近はそうでもなくなっているようですが・・・

 で、法律上有効な「故人の意思」を証明することできない状態のまま、その「もしもの事態」が起こった場合・・・
 揉める、もとい(^_^;)関係者がそれぞれ「当然」と思っている「主張」をする、ということが起こり得るわけです(^_^;)

 そうなった場合、民法上には、相続開始時(故人=被相続人の死亡により開始)の時に生存する一定の者が、法律上当然に相続人(法定相続人)となる旨の規定があり、その順位、相続分等につき「法定」されています。
 他にも「相続人の欠格」「推定相続人の廃除」「遺留分」、「特別受益者」「寄与分」等の「相続分の特例」etc・・・

 ただ通常は・・・
 何といっても「和の国・日本」(^_^;)
 関係者一同で話し合い、その結果を文書にする「遺産分割協議書」によるケースが圧倒的です。
 
 民法906条:「遺産の分割は、遺産に属する物又は権利の種類及び性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮しこれをする。」
 また、907条1項で、被相続人が遺言で禁じた場合を除き、相続人はいつでもその協議で遺産の分割をすることができる旨も定められています。

 行政書士が仕事で携われるのはここまで。

 話し合いがつかない場合は・・・
 907条2項「遺産の分割について、共同相続人間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、各共同相続人は、その分割を家庭裁判所に請求することができる。」
 裁判所になると代書屋の出番はもう・・・(T_T)

 ただ前述のとおり、「法定相続人」の方々は、それぞれ自分が正当だと思う主張をするでしょう。
 「あそこの土地は俺にくれるって言ってた」
 「お前は自分の家買うときに援助してもらたろ!」
 「最後面倒見てたのはアタシよ」etc・・・

 「血の繋がっている」同志でも、ちょっとした「行き違いで」揉めることになります。
 (前述の各相続人の「主張」はフィクションです念のため^_^;) 

 常日頃、顔を合わせている間柄でも大変です。
 これが、条件によっては日ごろ音信不通な親戚が「法定相続人」に含まれる可能性もあるわけです(^_^;)

 さらには、初めてその存在を知った「法定相続人」登場、と言うことも(>_<)
 
 相続手続きでは「法定相続人」が誰であるかを確定するため、必要な戸籍の取得・提出が必要となるのですが・・・
 その亡くなられた方・被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍を取得する作業、というのは最も重要な部分ですが、その中で他にも「相続人になる資格のある人」が判明する事態もあり得るわけです。
 
 出来る限り「オブラート」に包んどくと(^_^;)
 第一順位の法定相続人である「被相続人の子」には、実子、養子を問わず、嫡出子と非嫡出子(婚外子)の区別なく相続人となります。
 このへんで察して(^_^;)
 さらに相続人となる方が既に亡くなっていると、その者の子に「代襲」する旨の定めがあり、さらに事態は複雑になっていきます(^_^;)

 そして、ここが問題。
 遺産分割協議書が実務上「有効なもの」になるためには・・・
 法定相続人全員の署名押印が必要。
 押印が必要なのは「実印」、法定の「印鑑登録」されたモノでなくてはならず、「印鑑証明書」の添付も求められます。
 成人になっていて印鑑登録していない人がいたら、日本国内に住民票があるなら印鑑登録して「実印」を作らないとダメ。
 現在の居住地が外国だったりしたら・・・
 当該国の制度によって「サイン証明書」又は「拇印証明書」を添付して、「実印の押印」に代わってサイン又は拇印を押さなければならない、ということになります。

 ここまでクリアしないと「協議が調った」ことにならないわけです(^_^;)
 
 そうなってしまうと、もう行政書士の職域を超えてしまいます。
 残念ながら(T_T)

 で知人・友人からの「相談」というのも、もう「超えてしまう」可能性が高いモノが多くて(^_^;)

 「ごめん、そうなると弁護士さん、頼むしかないな」と(^_^;)
 そうなると大体「ひいてしまう」んですよね(^_^;)

 予想外に長くなってしまった(^_^;)
 いつものことではあるが(^_^;)

 ホンの少し書き足りないトコロは(例によって)次回に回しますm(__)m
 
 



 

 


続・やっぱ「相続」って大変・・・ [相続手続の話]

 相続の話題については何度も書いているのですが・・・(http://daisyoya-yossy.blog.so-net.ne.jp/2010-09-02
 その中でも触れましたが、「遺産分割協議書」に押印するハンコは、その方の意思が「真正である」ことを証明していただくため、必ず「実印」でなければなりません。

 日本の法律では、その本人に間違いないこと、その文書が真正であることの証明は実印&印鑑証明書
 
それがホントなのか、そうでないのか、争うなら裁判してくれ(^_^;)

 時々「三文判じゃダメなの?」「認印じゃダメ?」なんて訊かれますが、現行法ではNGです。

 日本国内に在住で成人の方で、「実印がない」なら、印鑑登録したうえで押印していただかないと・・・

 「じゃぁ国外に在住しているなら実印じゃなくても良いのか?」
 その場合は以前書いたとおり、在外の公的機関で「サイン証明」か「拇印証明」を発行してもらい、その証明書どおりに「サイン」して頂くか「拇印」を押して頂くことになります。

 繰り返しになりますが、本人に間違いないこと、その本人の意思が表明された文書であることの証明が重要なわけですので・・・

 なので、別に立派なハンコである必要はなく、それこそ100円ショップで売っているような「三文判」でも、印鑑登録すれば、それが「実印」になります(^_^;)

 ただし、実印が押されていると真正な文書と見なされると言うことを考えれば、偽造が容易で物理的に磨耗するような印判は避けるのが賢明では?

 私、別にハンコ屋さんの「まわし者」ではありませんが(^_^;)

 ちなみに、インク付きのいわゆる「シャ×ハタ」系のハンコは印鑑登録しようとしてもハネられます。念のため(^_^;)
 このあたりのハンコの話も以前に書いているのですが・・・(http://daisyoya-yossy.blog.so-net.ne.jp/2011-02-18

 とにかく、親戚付き合いが耐えているような方でも、その方が「法定相続人」であるならば、その方に実印を押して頂き、印鑑証明書を提出していただかないと「遺産分割協議」は有効にならない、と(>_<)
 大体、ここでトラブルが生じるわけですが(T_T)

 現実には、幾らかの現金等を「ハンコ代」としてお渡しして解決、という事例が多いのでは?

 「ハンコ」の力、侮りがたし、です(?)(^_^;)

 

やっぱ「相続」って大変・・・ [相続手続の話]

 前述の会社定款の電子認証・・・ 
 実は昨年は28日(金)「仕事納め」ギリギリの日にも公証人の認証を受けるため大森の公証役場へ行っていたのですが・・・
仕事納め.JPG
 公証役場に行きますと、何か緊迫した雰囲気の一団が(^_^;)

 どうやら、いわゆる「遺産相続」の件らしいのですが、書類等を揃えないまま襲撃したらしく(>_<)
 公証役場の事務員の方が対応に苦慮しておりました(^_^;)
 
 「戸籍謄本が必要」「どこに行けば取れるの!?」「役所は今日までじゃない!」
 と場を仕切っているらしい女性の大きな声が漏れ聞こえてきまして・・・(^_^;)
 一団から抜け出して、携帯で何処かに連絡をしている男性とか・・・
 何か修羅場が始まりそうな予感(^_^;)

 私は自分の要件を済ませて、そそくさと役場を後にしたわけですが・・・(^_^;)

 最近、仕事になるかどうか分からない「相続」に関する相談を受けることが結構ありまして・・・
 知人や他の許認可業務のお客様から
 「実は自分の知り合いがさ・・・」
 と言った感じで(^_^;)

 帰省している際に、母親の友人からもあったな(^_^;)
 「旦那さん亡くなられて手続とか大変だったでしょ?」
 「ウチは息子が代書屋やってるんで全部やってもらったのよ」
 「あら、そうなの?実はウチも・・・」
 と言った感じですな(^_^;)

 で、共通点は、お話を伺うと、残念ながら現状では手続をすることが難しい、と(>_<)
 その理由は、「法定相続人」の中に音信不通・所在不明の方がいらっしゃる、ということ。

 「法定相続人」。文字通り民められている「相続人になれる人」。
 で、民法にはその「法定相続人」の「順位」、受け継ぐことができる権利の「割合」についても定められています。

 もちろん、何よりも故人(法律上『被相続人』といいます)の意思が尊重されますので、ご自分がお亡くなりになった後の財産・権利については任意に処分することを生前に決めておくことは可能です、これが「遺言」ですね。
 
 ただ、これも法律に定める方式によっていないと「遺言」としては認められません。
 「亡くなる前に、こう言っていた」とか言う不毛な言い争い(^_^;)とか、例えその「録音」「録画」があったとしても、法律上の「遺言」としては認められません。

 また「家業を継いだ次男に全部の財産を譲る」とか、よく2時間ドラマでありがちな(^_^;)本来は「法定相続人」でない「愛人に全部やる」とか(^_^;)「公にしていなかった(認知していなかった)実の息子に全部譲る」とか言う遺言があった場合・・・

 「法定相続人」は「法律上正式に結婚している相手」=「配偶者」と、その「法律上正式に結婚している(していた)相手=配偶者との間に生まれた子供達=「嫡出子」が最優先されるわけですが・・・

 その本来、相続するはずの人たちに1円も残さないような遺言だったりした場合・・・
 本来もらえるはずだった人たちから
 「そりゃねぇっすよ、私たちにも下さいよ」(^_^;)と声を上げることは可能です。
 民法第1028以下に規定がある『遺留分』というヤツです。
 ただ、兄弟姉妹が相続人となるケースでは遺留分は認められていないので注意が必要です。
 で、あくまでも「主張ができる」ということで、後は裁判所の判断になります。

 ただ、最近増えてきたとは言え、現状では遺言を残されるケースというは少ないのではないでしょうか?

 何と言っても日本は「言霊(ことだま)の国」(^_^;)
 不吉なことはNG(^_^;)

「言霊の国」の掟 (徳間文庫)

「言霊の国」の掟 (徳間文庫)

  • 作者: 井沢 元彦
  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 2001/12
  • メディア: 文庫


 試しに、ご健在・ご健康な親御さんに
 「死んだ後大変だから、今のうちに遺言書いてよ」
 と言って御覧なさい。

 かなりの確率で親子喧嘩が勃発するでしょう(^_^;)
 それか、親御さんが泣き出して、他の兄弟・親戚などから非難轟々となるのでは(^_^;)?
 「縁起でもない」と言われると思いますよ(^_^;)。

 不吉なことを口にしてしまうと、「それが現実になってしまう」。
 または「その不吉なことを望んでいる」と取られてしまう、というのが日本の風潮でしょう?
  
 結婚披露宴等のおめでたい席での「忌み言葉」。
 「終わり」じゃなくて「おひらき」ってヤツ。
 あとは「放送禁止用語」など。

 無意識のうちに刷り込まれてるヤツです。
 
 最近少々暴走気味ですが、井沢元彦氏の著作にそのあたりが書かれていて結構面白いです。
 
「言霊の国」解体新書 (祥伝社黄金文庫)

「言霊の国」解体新書 (祥伝社黄金文庫)

  • 作者: 井沢 元彦
  • 出版社/メーカー: 祥伝社
  • 発売日: 2006/07
  • メディア: 文庫


 話がズレてしまいましたが、これはステマではありませんm(__)m

 「不吉な話題は避ける」意識があるので、よほどのことがない限り遺言を残すことは少ないでしょう。
 
 また前述のとおり、故人が何となく、その意思を口にしていたとしても、それは法的な拘束力はないわけです。

 それに「私が死んだら・・・云々」と言い出したら
 「また、そんな(縁起でもない)こと言って」
 などと止められることの方が多いのでは?

 ってまた話がズレそう(^_^;)

 では、故人、あっ、「被相続人」ていわなきゃ(^_^;)が何らの意思表示をせずに他界された場合・・・
 必ず法律で定められたとおりの割合で相続財産を分けなければならないかと言うとそうではありません。

 残された相続人の方々で話し合って、任意で承継することは可能です。
 というか、こちらの方法をとるケースの方が多いでしょう。
 これが「遺産分割協議」。
 で、その内容を書面にした「遺産分割協議書」を作成して、相続財産の承継に必要な手続、土地・建物の場合は相続による所有権移転登記。預貯金や株券等の有価証券類なら金融機関等に提出して行うわけです。

 ただし、この協議書には、法定相続人全員が話し合い、その内容に納得したということを証明するため、行政に登録したハンコ、すなわち「実印」を押印し「印鑑証明書」を添付しなければなりません。
 
 さらにその大前提として、被相続人の出生から亡くなるまでの記載のある戸籍謄本、そして相続人の現在の戸籍謄本を付けなければなりません。

 で、やっと冒頭の話に戻れるわけですが・・・(^_^;)

 本来相続人となれる人=法定相続人の一人でも欠けていると、その分割協議には効力は認められません。
 「音信不通」と言う言い訳は通じないのですよ、残念ながら(^_^;)

 そのあたりの事情を説明しても納得されない方、結構いらっしゃって(^_^;)
 とんでもない意見が出ることも・・・

続・「権利書」ってヤツは・・・そして相続登記に必要な書類 [相続手続の話]

 通常の権利の移転登記で、結果「権利を失う」ことになる「現在の登記名義人」の同一性、その意思を証明するために添付していた「登記済証」って、その名義人が、この世の人ではない(^_^;)相続登記では、その問題は出てこないはずです。

 でも今回、実家の相続登記手続、書類の作成をするに当たっては、とりあえず亡父の登記済証は探してもらったんだけど(^_^;)
 資料として必要なので。

 登記書類を作成するにも、分割協議書を作成するにも、相続の対象になる「不動産」を特定しなければなりません。
 「物件の表示」。
 土地であれば「所在」「地番」「地目」「地積」。
 建物であれば「所在」「家屋番号」「種類」「構造」「床面積」。
 建物でも、分譲マンションのような「区分建物」の場合は、また面倒で(>_<)さらに、マンションの底地の権利・『敷地権』付きだと、更に面倒(T_T)

 これを「登記されているとおり」に記載しなければなりません。
 そのためには、不動産の登記簿謄本、登記がコンピュータ化されている現在では「全部事項証明書」という名称になりますが、これを取得しなければなりません。
 基本1通700円で、誰でも申請・取得は可能なのですが・・・

 この土地の「地番」普通建物の「家屋番号」ってのが、いわゆる「住所」とは一致してないんだな(>_<)
 (マンション等の「区分建物」も部屋番号と一致してなかったりする)
 「住居表示」が実施されている地区だとなおさらです(^_^;)

 今だと登記所=法務局へ行くと、備え付けの端末の画面で住所から、大まかな地番までは調べられますし、時間は掛かるけど、所有者が分かれば調べてもらえるようですが・・・

 原則は不動産の登記簿謄本=全部事項証明書の申請書には「地番」「家屋番号」を記載して申請しなければならないぞ、と(^_^;)

 なので、まず故人の「権利書」があるなら、そこに記載された「不動産の表示」を参考にしようと思ったのだが・・・

 ウチの場合、前回書いたとおり「訳の分かんない」状態だと(^_^;)
 
 で、諦めて別の方法を(^_^;)

 不動産を持っていると、良いことばかりではない(^_^;)
 毎年「固定資産税」を納付しなければならない(>_<)
 その納税通知書が送られてきているはず。
 そこには最低限の「不動産の表示」が記載されていますし、「評価額」も記載されています。
 
 で、これを探してもらい、参考にして不動産の「全部事項証明書」を申請・取得しました。

 「何だ、結局、相続登記と『登記済証』は無関係じゃん」
 って仰るとおり、普通なら、いりませんね。

 申請に添付する書類というのは、それぞれ必要とされる事項を証明するために付けるものです。

 「登記上の所有者」=被相続人の死亡の事実を証明するために「除住民票の写し」。

 「法定相続人」の存在を証明するために法定相続人の人達の現在の戸籍謄本。
 
 その法定相続人と被相続人の関係と、他に相続人は存在しないことを証明するために被相続人の出生から死亡までの記載のある戸籍謄本。
 出生まで遡ることが難しくても、最低限12、3歳くらいまで。
 これは普通に考えて「子供を作ることが出来る」年齢までは遡って、婚姻外の子供が法定相続人以外に「いない」こと証明しろ、ということ。

 で、「法定相続分」と異なる定めをしたなら、その旨を記載し作成した「遺産分割協議書」。
 その協議書の内容が真実であることを担保するために、協議書には、協議に参加した法定相続人全員が記名し「実印」を押印し印鑑証明書を付ける、と。

 さらに今回、不動産を取得することになる人については住所を証する書面・住民票の写しを添付。

 という感じです。

 「同一性」は、亡くなった記載のある住民票・除住民票&戸籍謄本で証明することになるわけですが・・・

 その「同一性」に疑問符がついちゃう場合・・・

 登記簿上の「住所」と「最後の住所」が違う場合です。

 「お役所」に住所移転の届出をしても、自動的に「登記上の住所」は変更されません。
 意外と、これを御存知ない方がいたりする(>_<)

 不動産登記は義務ではなく「対抗要件」。
 住所を移転したら何日以内に登記しなきゃいけない、みたいな義務はない代わりに、変更登記をしないと「対抗できない」ぞ、と(^_^;)

 しかも、住所変更の登記って無料じゃないし(^_^;)

 だから、結構、不動産を取得してから住所を変更したにもかかわらず登記上は旧住所のまま、って結構多いのです。

 不動産を売買等で移転しようとする場合や、担保に入れて抵当権を設定するような場合、住所変更の登記をしてからでないと、その後の登記ができないので、その際にするケースは結構あるのですが・・・

 これはアレです。権利の移転・担保の設定際しては義務者の実印&印鑑証明書が必要なので、登記上の住所と、この印鑑証明書の住所が一致していないとNGです。

 なので、不動産を取得以来担保に入れたり、そう言う必要性がなかったりすると、登記上は旧住所のまま、ってケースも多いわけです。

 ウチの父の場合もそうでした(^_^;)
 何筆かの不動産の登記上の住所が旧住所のまま(>_<)

 さすがに、亡くなった方・被相続人について住所変更の登記をしろ、って規定はありませんが(^_^;)
 「同一性」は証明しなければなりません。

 住民票の写しを取った場合、「前住所」が記載されているはず。
 ウチの場合は、除住民票に記載された「前住所」と登記上の住所が一致していたので、これで「つながった」ことになりOKでした。(この際は「相続関係説明図」には「最後の住所」と「登記上の住所」を併記する必要がありますが)
 
 問題なのは、住民票上「つながらない」場合。
 何回も住所変更をしていて、登記上、ほったらかしだった場合ですね(^_^;)
 最後の住所と登記上の住所が違っていて、さらに住民票・除住民票に記載されている前住所が登記上の住所と違う場合です。
 
 この場合でも通常は本籍地で、住所の移転履歴が記載された「戸籍の附票」を請求・取得すれば「つながる」はずなのですが、これが保存期間を過ぎているとか、何らかの理由で取得出来ない場合、問題です。
 
 「住所X(最後の住所)に住んでいたAさん(被相続人)」と「住所Y(登記上の住所)のAさん」が同一人物であったことを書類上で証明しなければならない・・・

 そうなると、逆に(?)証明するしかないわけで・・・
 「不在住証明書」と「不在籍証明書」を取ることになります。
 「住所YにAさんという人は住んでいません」と言うか、「住んでいるという記録はありません」と言う「不在住証明書」と、「Yを本籍とするAと言う人が在籍する記録もありません」という証明書を取得・提出して、これで何とかお願いします、と(^_^;)

 で、さらに登記済証の写しを付けて「ただし、登記をした時点ではYを住所とするAさんは実在した」のよ、と。
 登記を申請した時点では住所を証する公的な書面があって、そのことを確認したうえで受理・登記されたわけですから。
 ここで、被相続人の登記済証を相続登記で使うことも出てくる、「普通じゃない」ケースもあるわけです。

 幸い、ウチの実家の場合、そう言う事態は生じませんでしたが(^_^;)

 前述の「不在住証明書」「不在籍証明書」のみで受理してもらえる場合もあるようですが、司法書士事務所に勤務していた頃、この登記済証の写しを使うパターンってのが何回かあったんですよね。
 場合によると、さらに相続人からの上申書も必要だったり・・・
 
 いや、登記って、やはり面倒ですね(^_^;)
 今は仕事でやることはないですけど(^_^;)

 でも以前に書いたことがありますが、行政書士業務・許認可の方でも、必要な証明が揃えられない場合に、補足資料+「上申書」で受理されるケースもあります。
 司法書士事務所勤務時代の経験が役立ってるかな(^_^;)

 長々と、結構支離滅裂な内容を書いてしまいましたが・・・(^_^;)

 相続の話、後は、少し「戸籍」のネタを書いてみようかと思っていますm(__)m
 
 


 
 

 

何とか完了したようで・・・ [相続手続の話]

 実家の相続の登記、何とか完了したようで・・・

 何か曖昧な言い方、してますが(^_^;)

 現在、「登記」は、ほぼコンピュータ化されてまして、登記事項証明書、昔の「登記簿謄本」にあたるモノですが、コンピュータ化されたモノは全国どこの登記所(=登記事務を扱う法務局、その支局・出張所)でも取得出来るようになっています。

 システム化されてるのは証明書発行の業務の一部でして、登記の申請は「管轄法務局」に行わなければなりませんし、管轄法務局でないと取得出来ない証明書もありますのでご注意を。

 で、実家の相続登記を申請した物件の登記事項証明書を、事務所近くの法務局に申請してみたわけです。

 登記の方は完了して、名義は変更になっていました。
 少なくとも、登記手続きがストップするような不備はなく、完了後書類を受領する際に軽微な書類上の誤りを手直しする「事後補正」の可能性があるかな、ぐらいで(^_^;)

 仕事で遺産分割協議書・相続証明書の作成までは現在でも携わっているのですが、登記の申請は元の勤務先等の司法書士にお願いしてるので・・・
 何度も書いてますが、登記申請業務は行政書士の業務範囲外、って言うか業法違反になっちゃいますから(^_^;)
 今回は、法定相続人の一人として、「業務ではなく」申請したわけで(^_^;)

 ただ私が司法書士の補助者やってた頃と、登記申請の手続、変わってしまっているので、少々不安でした。

 まぁこれで何とか一安心。
 後は完了後の書類を受け取ってくるぞ、と。

 昔~しの、いわゆる「権利書」といわれていた「登記済証」ではなく、現在では「登記識別情報」と言う、何か味も素っ気もない感じの書類が交付されるのだが・・・ 

 これについては、またブログで報告する予定ですm(__)m 

相続手続の話~書類を作るには~ [相続手続の話]

 先月の初めに「序章」とか言っといて、結構時間が経過してたのね(>_<)

 とにかく不動産の相続登記をしなければ、です。

 時間が経過しても大丈夫なのか?何年も「ほったらかし」で平気なのか?

 俗に言う「不動産の名義の書換」、相続によるものを含む「『所有権移転』の登記」については、現行法上登記は「効力用件」ではなく『対抗要件』とされています。
 
 『対抗要件』ってまた妙な言葉が出てきましたが(^_^;)これ、説明し出す大変なことになります(>_<)

 不動産の権利について、当事者間で「移転する」という法律行為が成立したら(ってかこれも「意思表示」とか色々出てくるのだが・・・)権利は移転しているのだと言うのが民法上の規定。

 契約書の作成とか「一筆入れる」ことをしなくても、「売った・買った」「あげる・もらう」と言う口約束であっても。

 ただ、それを「第三者」に対して証明するためには、何らかの手段が必要。
 
 「その土地なら、俺が買ったはず」「いや、俺が貰う約束をしたはず」「いやいや、私が・・・」
 と色んな「第三者」が出てきたら大変(>_<)
 ダチョウ倶楽部のネタみたいに
 「どうぞどうぞ」とは決してならないから(^_^;)

 そこで他の人間に自分の権利を主張・『対抗』するためには、『対抗要件』である『登記』をしておけ、と。

 で、不動産の権利の移転には『登記』が行われるのが殆ど「常識」になっている状態。
 現実的には「登記」されていない不動産には、買手がつくことは有り得ませんし、その不動産を担保に、普通の金融機関はお金も貸してくれないと思います。

 「民法の規定では・・・」とか言っても、鼻で笑われると思います(^_^;)

 「相続」が発生しているのに、登記をせずに「ほったらかし」なのは・・・
 
 「手続のことを知らない」か(^_^;)
 一つ目とも多少かぶりますが「手続をする必要性がない」か・・・
 「手続をしたくても出来ない状態」か・・・
 
 まぁ他人様のことはよいとして(^_^;)
 ウチはやっておかないと(^_^;)

 必要な書類を作成し、その作成&登記申請に添付するため、公的な証明書類を集めなければなりません。

 まず、「誰が」「どれを」もらうって話以前に、その相続の対象になる財産が「どれだけあるか」を把握しないことには始まりませんから。

 ここでは登記されている不動産に話は限定しますが・・・

 当然、登記申請書にも、遺産分割協議書にも、その不動産を特定する「不動産の表示」を「登記されているとおり」に記載しなければなりません。

 土地ならば「所在」「地番」「地目」「地積」。
 建物ならば「所在」「家屋番号」「種類」「構造」「床面積」。

 (分譲マンション等の「区分建物」で底地の権利=「敷地権」付きの場合また面倒なのですが、今回は割愛m(__)m)

 そのためには不動産の登記簿謄本、登記記録の殆どがコンピュータ化された現在では『全部事項証明書』と言われますが、これを取得して確認する必要があります。

 ただし、これも比較的簡単に物件を特定して取得できる場合と、少々面倒な場合があります。

 ちなみに、この証明書は戸籍等の証明書と違い、手数料を印紙を貼付することで納めれば「誰でも」取れます。
 むか~しの帳簿のコピーのB版縦書きのものと違って(^_^;)現行のA版横書きのものは内容は読み取り易くなってますしね。

 で、該当する不動産を特定して証明書を取得する話は・・・

 次回につづく・・・
 
 
 

そろそろ申請しないと・・・ [相続手続の話]

 週末はまた実家の方に戻っていたのだが・・・

 でもホント、駅前の「シャッター化」進んでるのね。残念ながら(T_T)
syoten.JPG
 学生時代・上京前には頻繁に通っていた駅前の書店もこんな具合だし(>_<)

 そう言えば高1のとき、中学の時の同級生にラブレター(もはや『死語』(>_<))渡したの、この本屋だったな(^_^;)
 人生初告白(^_^;)
 思い出の場所が消えてしまうのは残念(T_T)

 さて、本題・・・

 実家の、不動産の相続登記をしなければ、です。

 民法の915条に相続の「単純承認」「限定承認」「放棄」について『自己のために相続の開始を知った時から三箇月以内』と言う規定はありますが・・・

 「相続」は「権利」だけではなく「義務」も承継するモノ。
 というか、「権利」があるトコロには必ず「義務」があって、これは表裏一体のモノなのですが、「義務」を果さないくせに「権利」ばかり主張する輩も多いですよね(>_<)
 
 これを言い出すと本題から離れてしまいますので(>_<)
 要は「プラス」の資産・財産を相続する、というならば「マイナス」の財産、借金・債務も相続しなければならない、ということです。
 
 手に入れる財産(プラス)よりも「借金」(マイナス)の方が多いならば相続を『放棄』する。
 残った相続財産(で払える)の範囲内で債務も引き継ぐという『限定承認』をする。

 そうでなければ無限に被相続人(=亡くなった方)の権利&義務を「無限に」承継することになるわけです。
 前述の三箇月以内に放棄・限定承認の手続をしなければ、この「単純承認」をしたものと見なされることになります。(『法定単純承認』民法922条)

 何か前フリだけでも長くなりそうだぞ(>_<)
 この辺の家庭裁判所に行う手続きは、はっきり言って仕事の範囲外ですから良く分かりません(^_^;)

 借金多くてヤバそうなら弁護士等に相談した方が宜しいです。

 そうでなければ・・・
 普通は三箇月以上たって法的には「単純承認」と見なされた後で、「相続の手続しなきゃ」ってことに。
 
 それに三箇月なんて余裕でほったらかし、というか他のことでバタバタして出来ないってのが普通じゃないですかね?
 それか揉めてるか(^_^;)

 亡くなってから一年以上不動産の相続登記をしていない、ってことはザラですし、三年・四年ってのも結構あります。でも五年以上たつと、必要な書類を揃えるのが難しくなるので、そこまでは引き伸ばさない方が(^_^;)

 あと、偉そうに相続登記云々言ってますが・・・
 行政書士が「業として」登記申請書を作成し申請行為の代理人になることは現行法上認められていませんm(__)m
 「遺産分割協議書の作成」戸籍集めて相続関係説明図等「相続証明書類」の作成までは業務範囲、報酬を頂いて「業として行うこと」は可、とされているのですが、登記の申請代理はNGの「寸止め」です(^_^;)

 今回、私は法定相続人・遺産分割協議者の一人として手続をやってる、ということです。
 「業として」ではないので(^_^;)

 ここまででも、聞き慣れない用語が色々出てきたと思いますが・・・(^_^;)

 故人・不動産の所有者が、生前に没後の財産の処分について何らかの意思表示をしていたとしても、それが法で定める『遺言』の形式を備えていない場合は、それを根拠に、ダイレクトに相続手続・相続登記をすることは出来ません。
 裁判所で争そってもらうしか(^_^;)

 故人=『被相続人』が具体的な意思表示をしていなかった、していると認められない場合・・・

 民法で相続人になれる人=『法定相続人』と、その相続できる割合=『法定相続分』は規定されています。

 900条の『法定相続分』の規定・・・
 「子及び配偶者が相続人であるときは、子の相続分及び配偶者の相続分は、各二分の一とする。」
 故人の奥さんか旦那さんが健在なら、まず半分。
 で、残りの半分を健在の子供達が「頭割り」。
 
 以下、色々と規定があります。

 ウチの場合は『法定相続分』で行けばこのパターン。
 ただし、この法で「もらえる」と決められている『法定相続人』全員が話し合って、法で「こう言う風に分けなさい」と決めている『法定相続分』と異なる分け方を「協議して」決めることは認められています。
 それが『遺産分割協議』。

 現実には、『遺産分割協議書』作成による相続が多いのではないでしょうか?

 で、ウチも、生前の故人の意思を尊重し『遺産分割協議』によるカタチにしました。

 生前、散々「スネ齧り」した私・・・(^_^;)
 「お前、本当にそれでいいの?」
 と言う母の言葉に、財布の中身が厳しい私は心揺れながらも(>_<)
 故人の意思に基づいた『遺産分割協議書』を作成いたしました(T_T)

 ~つづく~

遺言書(その1) [相続手続の話]

旧盆で帰省した際の、親族一同が集まった酒の席で、話題が出た、ってトコロから、「相続」についての話をチョコチョコと書いてきました。
 どちらかと言うと「ネタ」としての側面の方が強いかな(^_^;)
 必ずしも、全てについてフォローし切れていないとは思いますが、取り合えず・・・

 『遺言』
 所有する財産の処分の自由を(遺言者の)死後にまで認める制度です。
 満15歳に達した者は誰でも遺言をすることができ(民法961条)、遺言者の死亡の時にその効力を生ずる(民法985条)とされます。
 
 未成年者でも法定代理人の、被保佐人は保佐人の同意を得なくても遺言をすることができ、成年被後見人の遺言でも、遺言の時に、その能力を有していれば民法9条による取消の対象とはなりません(民法962条・963条)。その他、色々と規定がありますが省略。

 重要なのは遺言は一定の方式に従わなければならない、ということ。
 民法960条【遺言の要式性】
 「遺言は、この法律に定める方式に従わなければ、これをすることができない。」
 (この「要式性」については重要です)
 当たり前ですが、必ず書面によるものでなければならず、単なる口約束などでは法的効果は生じない、ということです。
 そして、遺言者はその生前、「何時でも、遺言の方式に従つて、その遺言の全部又は一部を取り消すことができる。」(民法1022条)とされています。
 
 それから、遺言者の死後、日付の異なる遺言書が複数存在し、前の遺言の内容が後の遺言の内容に抵触するときは、その抵触する部分については後の遺言で前の遺言を取り消したものとみなされる(民法1023条)という規定があります。
 まぁ、人間、気が変わる、ってこともありますし(^_^;)、「あの財産はアイツにやろうと思ってたけど、オレに失礼なこと言ったから、やっぱり止めた」なんてね(^_^;)

 「要式性」とも絡んできますが、「日付」について、その日付を「昭和41年7月吉日」と記載されている自筆証書遺言を「日付の記載を欠くものとして無効」とする判決が出ています。

 順番が前後してしまいましたが、「遺言の方式」について。

 普通の方式と特別の方式があるのですが・・・

 「特別の方式」については、「死亡危急者の遺言」(民法967条)「伝染病隔離者の遺言」(同977条)「在船者の遺言」(同978条)「船舶遭難者の遺言」(同979条)等の規定がある、という紹介だけに留めさせていただきますm(__)m

 「普通の方式」の中には「自筆証書」「公正証書」「秘密証書」の三つの方式が定められています(民法967条)。
 それぞれメリット・デメリットがあるわけですが・・・・
 とりあえず、「自筆証書」と「公正証書」について、その概略を書きますと・・・

 まず「自筆証書遺言」(民法968条)
 文字どおり、遺言者がその全文、日付及び氏名を自書し、これに押印しなければならず、加除訂正その他の変更については、遺言者がその場所を指示し、これを変更した旨を付記してこれに署名し、かつその変更の場所に押印しなければ効力がありません。

 メリットとしては、
 ◎書式に制限はなく、自筆するだけ、という最も簡単な方式で(便箋・レポート用紙に手書で良いわけです)、
 ◎作成時には特別の費用を要せず、
 ◎遺言の内容を第三者に知られないで済む、という点です。

 ではデメリットは・・・
 実は「ローコスト」という点以外は、メリットが一転デメリットになる可能性があるわけですね(^_^;)
 ◎方式の不備によって無効になる可能性があり、「手書」でなくてはならないので、パソコン・ワープロで作成さ  れたものは不可。
 ◎遺言書の紛失のおそれもある、ということです。

 そして「公正証書遺言」と他の二つの方式の遺言の一番の違い、と言うと・・・
 公正証書遺言以外の方式の遺言の場合、遺言書の保管者・発見者は、遺言者の死亡を知った後、遅滞無く遺言者の最終の住所地を管轄する家庭裁判所に遺言書を提出して『検認』の手続をしなければなりません(民法1004条)。
 それから注意しなければならないのは同条の3項の規定。
 「封印のある遺言書は、家庭裁判所において相続人又はその代理人の立会を以てしなければ、これを開封することができない。」とあります。
 遺言書を書く人が、封をしない、ってことは考えにくいですよね?
 「あれ、遺言書が出てきた、一体何て書いてあるんだ」
 なんて勝手に開封すると過料に処されます(民法1005条)
 そして、家庭裁判所の検認済証明書のない自筆証書遺言に基づいて不動産の移転登記を申請しても当然却下されます。

 で、「公正証書遺言」(民法969条)。
 デメリット、というのは費用と手間がかかること・・・
 メリットは、専門家が作るわけですから、遺言の有効性について争いになる可能性が低いこと。
 前述の家庭裁判所の『検認』手続が不要で、遺言者の死亡後速やかに不動産の移転登記、預貯金の解約などが可能な点、ということです。
 公証人の手数料は、「目的の価額」に応じて異なってきます。不動産の場合は固定資産評価証明書等の価格が基準、ということになります。
 財産をいっぱい持ってると、それなりに費用はかかる、ということですね(^_^;)

 どちらの方式を採るかは、あなた次第、ってことです(^_^;)

 ちなみに、その帰省した際の酒の席で、父親から、この辺の話が出て
 「オレも長くないから」(って言う方は逆に大丈夫じゃねえか、って勝手に思ってるのですが(^_^;))
 父親の希望としては、財産=家業=実家の建設会社を、後継者である次男(私の弟ですな)にスムーズに移転させるためには、どのような方法・形式が良いのか、と聞かれたので、一番良いのは(父親の希望・意思を明確なカタチにするには)、
 「公証役場で『公正証書遺言』を作るのが一番じゃない」
 と答えました。それに対して
 「そうか、渡瀬恒彦に頼むのが一番か」と(^_^;)
 2時間ドラマで、元検事の公証人を主人公にしたシリーズがあってhttp://www.mbs.jp/pgm/info/1209003405.shtml
 父親がワリと好きで見てるんだな(^_^;)

 その前に「遺言書ならオレが作っとこうとか?」
 と言ったら、笑いながら
 「お前、自分に都合良く書こうとか思ってないだろうな?」
 と言われました(^_^;)
 以前のネタで書いたけど、私は「特別受益者」だから(~_~;)
 多分、そんなに貰えないって。
 父親も本気で言ったのではないでしょうが・・・

 さて、ここで父親が、仮に「全財産を次男に」という遺言書を公正証書で作成したとしたら(~_~;)どうなりますか?「オカンにも他の子供たちには一銭もやらん」と(仮定だとしても、あまり書きたいネタではありませんが(^_^;))
 気持ちは分かりますが、配偶者=母親や他の子供たちのことも考えてね、と 

 「自分の財産なんだから、自由だろ」ってことで済みますかね。
 
 遺言書を巡るトラブルってのは現実にも起こりうるわけで(「相続」ネタの一番最初に書いたように)、
 
 「実は隠し子がいて、その子供に全財産を」
 「愛人に全財産を」
 分かり易い例と、思ったけど、何か2時間ドラマにありがちな話になってきた(^_^;)

 そこで出てくるのが『遺留分』についての規定。

 
 ちょっと整理しますと。
 民法上は、「法定相続」について、相続人の順位・相続分についての規定があり、被相続人(亡くなった方が)が何の意思も表明していなかったとすれば、原則この定めに従い、また、「特別受益」や「寄与分」等の特別な相続分の計算方法の規定もあるが、法定相続人=共同相続人全員の合意で「遺産分割協議」を行えば、それらと異なった方法で相続財産を分けることも可能。
ただし、遺言で相続から5年を超えない期間内、分割を禁ずることを認める規定(民法908条)もあります。

 被相続人が生前に「遺言」を作成し、その財産の継承方法を定めていた場合は・・・

 そもそも、「遺言」は所有財産の処分の自由を、その死後まで認めるための規定。
 当然、その意思は尊重されるべきですが、前述の「愛人に全財産を」なんて遺言をされてしまった遺族の立場は?
 その対立する問題を調整するため、相続人に対して一定の権利を「留保」するための規定が、民法1028条以下に規定された「遺留分」の規定です。
 
 さて、長くなりましたので、「公正証書遺言」の具体的な手続と、『秘密証書遺言』、そして『遺留分』については次回に・・・
 

分割協議の話・・・一部雑感(^_^;) [相続手続の話]

 相続の話、と言ってますが、これも雑感、かも知れない(~_~;)

 まぁ、無事に「遺産分割協議」がついて、「協議書」もできたとします。

 具体的に、どう「分割」するか・・・

 ちなみに「協議書」の書き方の概略。まぁ今はネットでも様式・記載例は簡単に見つけられると思いますが…
 私が業務で作成している様式では
 
 冒頭に
 「被相続人」氏名
 「死亡年月日」
 「最後の住所」
 を記載して、被相続人について特定し、
 
 「~の遺産について、同人の共同相続人である××××、△△△△及び▲▲▲▲は・・・」と法定相続人の氏名を特定して記載。
 つづけて
 「相続人は他に存在しないことを確認し、その遺産につき次のとおり取得及び承継することに決定した。」
 として、

 「相続財産中下記不動産については、相続人××××が取得するものとする。」
 として続けて不動産を相続するのであれば、土地であれば所在・地番・地目・地積。建物であれば所在・家屋番号・種類・構造・床面積等の物件を特定する記載をします。
 共有名義の場合で、その持分を取得するのなら、物件の記載の最後に「此の持分○分の○ 」
 
 現在被相続人単有のものを、共有名義にするなら
 「下記不動産については、相続人××××及び▲▲▲▲が2分の1づつ取得するものとする」といった感じ。

 以下、預貯金であれば「下記預金は相続人△△△△が取得するものとする」として金融機関名・支店名・預金の種類・口座番号・金額を記載。

 で、協議書の最後に
 「以上のとおり、相続人全員による分割協議が成立したので、これを証するため本書を作成し、署名押印する」と結んで、分割協議の日付の後に法定相続人全員の住所・氏名を記載する、と言ったカタチですね。


 預貯金等の現金や国債とか証書化された債権みたいに「分割」が、比較的容易なもの・・・

 不動産も各人に、相続分に相当するものが行き渡れば問題ないと思われますが・・・

 例えば、土地建物が一筆づつの場合。
 前述のとおり、相続分に基づいて、共有名義で登記が可能であれば、それで良いと思います。
 
 ただ、それが地方の「実家」で、相続人全員が、それぞれ他に自宅を持ち、勤務先等、生活のベースが離れている、といった場合。
 現実的には、誰も利用しない「家」を残しておくことはどうなのか?ってことになると思います。
 固定資産税の問題等もありますから、「価額による分割」、つまりその不動産を売却して、その売買代金を相続分に応じて受取る、と言うような方法が採られることが、現実的には結構あるのではないでしょうか・・・

 私が好きなコミック、家庭裁判所の裁判官を主人公とした『家栽の人』(タイトルが「裁く」じゃなく「栽」なトコロがポイントなんだな(^_^;))

家栽の人 (1) (ビッグコミックス)

家栽の人 (1) (ビッグコミックス)

  • 作者: 毛利 甚八
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 1988/12
  • メディア: -


 そのエピソードの中で、こんなシーンがあります(一部ネタバレで、失礼します)

 遺産分割の調停。
 前述のような状況から、共同相続人である年配の兄弟たちは、亡父名義の実家を売却し、「価額による分割」をすることを決めます。
 
 そうして調停が纏ったトコロで、主人公の桑田判事は、何とかして、その自宅を残す方法を考えた方が良いのでは?と提案します。
 相続人たちは戸惑いますし、家裁の職員も大慌てで「折角、調停が調いかけているのに何を言うのですか!」と嗜めます。
 因みに、主人公の桑田さん、見た目は植木好き・植物好きの暢気なオッサンにしか見えないので(当然、実際は違うわけですな(^_^;))

 相続人の方々も「間抜けな裁判官もいるな」みたいな感じて笑ってます。
 で、家の取り壊しなど、必要な手続も終って、久々に「故郷」で顔を合わせた兄弟たちは、「間抜けな判事」の話をしつつ、その家の後に行ってみようか、なんて流れになります。

 年末の雪が降る中。
 更地となり、跡形もなくなった実家の後に立った兄弟たちは、何とも言えない気持ちになります。
 一同無言の中、一人がポツンと 
 「故郷をなくすのって簡単だな・・・」
 
 で、狭い町ですし、そこはフィクションですから(笑)、兄弟一同が呑み屋に行くと、レギュラーの家庭裁判所の調査官たちと鉢合わせ・・・
 そこで、桑田判事の言葉を噛みしめる一同・・・

 あまりネタばらしをしても仕方がないですが(~_~;)

 ただのセンチメンタリズム?
 現実的な話ではないかもしれません

 何度か書いてますが、「相続」で財産が絡むと、失くすものって多いと思いますよ。色んな意味で。

 そうならないように心掛けたいと思います。




相続の話、と言うよりは雑感? [相続手続の話]

 相続の話を書いているついで(?)に雑感を一つ(^_^;)

 現代の日本は「長子相続」が原則となってますよね。
 
 私は何度か書いてますが歴史好きなのですが、これお武家様の「相続」で揉めると「お家騒動」となるわけですな(^_^;)・・・
   
御家騒動―鳶魚江戸文庫〈7〉 (中公文庫)

御家騒動―鳶魚江戸文庫〈7〉 (中公文庫)

  • 作者: 三田村 鳶魚
  • 出版社/メーカー: 中央公論社
  • 発売日: 1997/03
  • メディア: 文庫


 研究書も沢山出てますし、小説の題材にもなってます。
 現代でも、ありますしね(^_^;)

【実録】日本の“お家騒動” (別冊宝島ムック)

【実録】日本の“お家騒動” (別冊宝島ムック)

  • 作者: 別冊宝島編集部
  • 出版社/メーカー: 宝島社
  • 発売日: 2005/10/04
  • メディア: ムック


 平安から鎌倉時代までの武士では、亡父の遺領を子供たち全員で「分割相続」するケースも多かったようで、この場合、女性にも相続されていたようです。

 で、当然、分けられる「パイ」は減っていくわけで、所領の細分化によって経済的に困窮するわけで、そののため、男子単独による相続が一般化していったようです。
 
 必ずしも「長子」ではなかったようですが、基本は「嫡子相続」ですよね。
 で、「お家騒動」も増えていくわけだ(^_^;)

 足利幕府の将軍家では、嫡男以外の男子は「出家」していずれかの宗派の「門跡」となっていたようです。この時期の寺院は、現代で持たれているイメージと異なり、膨大な所領や経済権益、場合によっては武力も有していたわけですが・・・

 でも世界では、「長子」ではなく「末っ子」が父親の死亡時の財産を引き継ぐ『末子相続』の方法もあるようで、遊牧民の文化であるようです。
(詳細は『ウィキペディア』参照http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9C%AB%E5%AD%90%E7%9B%B8%E7%B6%9A

 父親が元気なうちに、子供たちに、成人した順に、十分な財産を与えて独立させて、最後に残った子供に、残った財産を、ってのは、ある意味、合理的な気がするのですが、どうでしょう?

 農耕民族には、根付かないのかな(^_^;)

 『ウィキペディア』にも古代・出雲地方と末子相続の記述がありましたが、古事記・日本書紀でも皇族で末子相続が行なわれた記述があり、遊牧民=騎馬民族起源説との関わりでも興味が惹かれるトコロです。

 こう言うジャンルの話、好きなんだな(^_^;)
 出来れば、こっち方面に進みたかったんだけど
 「そんなんでメシが喰えるのか!?」って一刀両断(^_^;)
 
 散々脛をかじった「嫡男」が「職人」の後継ぎから逃れるには、「学問」というよりは実用的な「知識」「資格」の取得が大命題、だったとさ(^_^;)

 「相続ネタ」に託けた、ちょっとしたグチです(^_^;)
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