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相続手続の話 [相続手続の話]

 先日、相続手続について相談のお客様がいらっしゃいました。
 ご存知のとおり、相続の「登記」手続の代理は司法書士でないと出来ません。また、法的に争訟性を帯びているならば弁護士に依頼するべきです。
 但し、当事者間ですでに、相続財産等の処分について話し合いがついており、その内容を「遺産分割協議書」として作成し、相続手続に必要な書類の取得をすることは行政書士の業務範囲内です。
 その旨をお客様に説明し、こちらで作成・取得した書類に基づいて司法書士に登記手続を依頼する、という形式を採ることで納得いただいたので手続に入ることになりました。
 登記については、私が以前居候させていただいていた司法書士の先生に申請をしていただくことにしました。

 まず、お客様に用意していただいく書類について、一覧表を印刷してお渡します。
(1)被相続人(亡くなられた方)については
 ①出生から死亡までの戸籍謄本②死亡の記載のある住民票の写し
(2)相続人の方々については
 ①全員の戸籍謄本②全員の印鑑証明書③今回不動産の名義を取得される方の住民票の写し
(3)当該不動産の登記簿謄本又は登記済証(権利書)のコピー
以上が最低限必要な書類となります。

 まず(1)については登記上の名義人の方が死亡した事実と今回遺産分割協議に参加した方々以外に相続人となるべき者がいないことを証明するために用意します。
 (1)②については同世帯の方、全員が亡くなられると当該住民票は除かれるため「除住民票の写し」が必要となります。また「除住民票」の保存期間は5年間と定められていますので、諸事情で相続の手続が遅れたために保存期間を経過し取得できない場合は他の証明書類を用意しなければなりません。
また、以前のブログでも書きましたが、「住民票」自体は各自治体で管理されているもので、一般に交付され、通常「住民票」と称されているものは正式には「住民票の写し」と言います。末尾に「この写しは、住民票の原本と相違ないことを証明する。」と書いてあるでしょう?
でも混乱を避けるために、私も通常は「住民票」て言ってます。以前、お客様に「住民票の写し」と言って「住民票の写しのコピー」を持ってこられたことがあったので(^_^;)
 話が逸れてしまいましたが、本題に戻って被相続人の戸籍謄本について。これは原則出生から死亡時までの記載のあるものを用意します。何らかの事情で転籍等があれば転籍・除籍前の謄本、改正原戸籍をすべて揃えなければなりません。戦災などで記録が消失しているならその証明も必要です。最低でも13歳くらいからの記載があるものが必要です。これはいわゆる「婚姻外の子」などがいないという事実を証明するために、一般的に生殖能力を有するとされる年齢以降についての記載が必要なわけです。
 この点についてお客様に説明すると中には「そんなのいるわけねぇだろう!」と語気を荒げる方もいらっしゃるのですが、法で定められたものですから、私に向かってお怒りになられても・・・不愉快な思いはごもっともですが、「ない」というなら、その事実は書面で証明しなければならないのです(T_T)
 そして(2)の①、これで(1)の①と併せて、本来、被相続人=亡くなられた方の財産等について法律上、相続すべき人間(=法定相続人)が誰と誰であるか特定するわけです。
 そこで、法定相続人の間で、どのような割合で財産等を受け継ぐのか、という問題。
 「相続分」というのは法律で「法定相続分」というのが定められています。配偶者(奥さん・旦那さん)が2分の1、残りの2分の1を子供の人数で按分、というのを聞いたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
 「法定相続分」に「特別受益者」、「寄与分」、それに「法定相続人」以外に財産の全てを譲るというような遺言が出てきた場合の「遺留分」など、とてもここでは説明しきれませんし(T_T)拗れてくれば、前述のとおり、これはもう弁護士に依頼するしかないでしょう。 
 民法では907条で「被相続人が遺言で禁じた場合を除き、共同相続人はいつでもその協議及び分割をすることができる」と定められています。
 法定相続人全員で話し合いがつけば(遺言で禁止等されていない限り)、法定相続分等の規定に拘わらず、財産の処分は可能なわけです。協議が整えば、通常「遺産分割協議書」を作成します。そこには法定相続人の署名・押印(いわゆる実印)が必要であり、全員の印鑑証明書を添付します。前にも書きましたが、「ハンコ社会」の日本では実印+印鑑証明で本人の意思は(強力な反証がない限り)証明される、という取扱なわけで、そこで(2)の②の全員の印鑑証明書が必要なわけです。
 そして分割協議書には取得される財産について特定した記載をしなければなりません。そのために不動産の謄本か権利書のコピーを見せていただいて、登記簿の記載どおりに「不動産の表示」を記載した遺産分割協議書を作成するわけです。

~つづく~
 


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