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相続手続の話・その2 [相続手続の話]

 前回の続きです。
 必要書類の一覧表と名刺をお渡しし、連絡先のメモを頂いた数日後、お客様から携帯に電話をいただきました。曰く
「権利書がないんだけど・・・」
 守秘義務に反しない範囲でお話すると、今回の被相続人となられる方は前回、親御さん名義だった土地を、他のご兄弟たちと3分の1づつ相続されており、その土地について売買の話が持ち上がっているので、共有者である、他のご兄弟たちから、「早急に相続登記手続きをして欲しい」と言われた、とのこと。
 よくよく話を聞くと、そのお客様は、「土地の3分の1についての権利書」を持っていたはず、と思っていらしたようなのです。
 このブログの別の項目でも書きましたが、不動産登記法が改正され、「登記識別情報」というシステムが導入される以前は登記完了後には「登記済証」(「権利書」ないし「権利証」というのは正式な名称ではありません)が交付されていました。
 このケースでは、おそらく3人連名で「3分の1づつ相続する」という内容の登記申請書の副本に
 このような「受付印」が押されたもの1通が「登記済証」として交付されたはずです。3人の名前で登記したから、3人それぞれに「登記済証」=権利書が交付されるわけではない、というのが、当時の不動産登記法の仕組みです。
 以前にこのブログでも書きましたが、「登記済証」=権利書という紙自体の上に「権利が載っている」のではなく、権利書だけがあっても、本人の意思の確認(通常は実印の押印・印鑑証明書の添付によります)ができなければ権利の移転・処分はできないので、名義人の誰か一人が代表して持っていても、実印・印鑑証明書の管理さえしていれば勝手に処分はできません。おそらく兄弟のどなたかがお持ちになっているはずです。

 その旨を説明し、登記簿謄本は手元にないか伺うと、それもない、とのこと費用がかかっても構わないのであれば、こちらで謄本は取得します。と伝え、ご了承いただきました。
 ちなみに、今回の相続の手続に「権利書自体」は不要であることは最初に伝えてあります。繰返しになりますが、相続登記以外の通常の所有権移転登記に権利書=登記済証を添付するのは登記されている人間と、その権利を失う人間の同一性の確認と、その意思を申請の時点で確認するためのものです。相続登記の場合、「申請時の意思の確認」をしようにも、当事者=被相続人は、この世にいらっしゃらないわけですから(少々不謹慎な発言でしょうかm(__)m)不要なわけです。
 但し、被相続人の方の登記上の住所と死亡時の住所が繋がらない(その間の「繋がり」を証明する住民票の写しが添付できない)場合などには登記済証のコピーを提出する必要も出てきますので注意が必要です。

 「面倒臭いんだね~」とお客様のお言葉、同感です。でも面倒くさいからこそ、我々代書屋には「メシの種」なわけで(^_^;)
 不動産の謄本はこちらで取得して、分割協議書の作成にかかり、あとは戸籍謄本が揃えばひと段落となります。


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