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業務日誌 許認可取得要件の話~「いなくてはならない人」と「いてはいけない人」 [色々な許認可についての話]

昨日、知り合いの司法書士の先生からの紹介で宅地建物取引業免許の更新申請のご依頼をいただきました。ただし「宅建業の手続を全くやったことがない行政書士の先生はやめてね」と言われたそうですお客様の立場とすれば当然でしょうね。
決して多くはありませんが、とりあえず宅建業の申請業務はやったことがあり、PCに申請書作成ソフトも入れてますので、お客様に電話して打合せ。
申請書類の作成、申請手続き、申請書に添付する各種の証明書類の取得まで、すべてやらせていただくことになりました。
お客さま曰く「どこで調べたのか、ダイレクト・メールとかで(他の行政書士の先生方から)営業が来るんだけど、お願いするなら信頼できるトコロじゃないとね」
有難いお言葉ですが、軽いプレッシャーを感じつつ、書類作成に関する資料等が、お客様の手元にあることを確認し、週明けにお伺いすることになりました。
各種証明書取得のための私宛の委任状を作成。一点気になっていた申請者の(法人の場合は役員等についての)「身分証明書」の添付が、まだ必要なのかを都庁に確認し、その取得についての委任状も作成しました。
「身分証明書」といっても、日常生活で本人確認のための運転免許証やパスポート、健康保険証のコピー等ではありません。本籍地の市区町村の戸籍事務を扱う窓口で発行される公的証明書のことです。

許認可の取得に際しては、要件=クリアしておかななければならない条件が、その根拠法令に基づき定められています。その代表的なものが「人的要件」、「人」についてのものです。
今回のタイトルにもしましたが「いなくてはならない人」=法令の定める資格・経験を有する人がいることと、「欠格事由」と言われる一定の条件に該当する「いてはいけない人」が、その事業体にいないということを申請に際しては証明しなければなりません。
まずは「いなくてはならない人」、宅建業の場合は専任の「宅地建物取引主任者」がいること。「宅地建物取引主任者」は、いわゆる法律系国家資格の中では登竜門的なもので、一番人気がありますが、それだけに難易度も高いものです。当然、「試験に合格した」だけではなく、資格登録をし、主任者証の交付を受けている人がいなければなりません。
他の許認可では、この条件は様々です。(試験に合格した)有資格者がいなければならないもの。法令で定められた講習を受けなければならないもの。何らかの客観的な証明書類で実務経験を証明できれば済むものなど、これは許認可の種類ごとに個別に見ていくしかありません。
そして当然、申請に際しては、その条件を満たしていることを証明する書類を添付しなければなりません。

そして「欠格事由」。一定期間(5年間というのが多いです)の間に刑法(禁錮刑以上というのが凡そのパターン)、許認可を取得しようとするその業務に関する法令に違反した人が該当します。
そして「成年被後見人・被保佐人」と「破産宣告を受けている人」。諸事情により、単独では有効な法律行為が行えないこれらの人が欠格事由に該当します。
申請に際しては「欠格事由に該当していない」ことを証明しなければならないのですが、これもその許認可の種類ごとに、だいぶ違っています。
まず殆どの場合は、それぞれの法令様式で定められた、申請者の名前(法人の場合、代表者印を押印)で「欠格事由に該当する者はおりません」といった内容の「誓約書」を作成し添付します。
建設業の許可などは「誓約書」の添付で済みます。労働者派遣事業の許可などは本籍地を記載した住民票を添付し、欠格要件の有無は行政庁側で審査する、という取扱のようです。ですが宅建業、産廃処理業、古物商など多くの許認可においては、さらに成年被後見人・被保佐人であるとの記録が「登記されていないことの証明書」を添付しなければなりません。この証明書は法務局・地方法務局(法務局の「出張所」では取れません)で交付を受けることになります。

ここでようやく先の「身分証明書」について。成年後見人の制度は平成12年の民法改正によって設けられた比較的新しい制度です。それまでは何らかの事情で、単独では有効な法律行為が行えない人たちについては「禁治産者」「準禁治産者」という制度がありました。身分証明書は、禁治産、準禁治産の宣告、後見の登記、破産宣告又は破産手続開始決定の「通知を受けていない」ことを本籍地の自治体の長の名前で証明するものです。
許認可申請では、「登記されていないことの証明書」だけですむのか、「身分証明書」も必要なのかは注意が必要です。成年後見登記の制度が施行されて年数が経過したことによって、従前は両方の添付が必要だった申請手続も、「登記されていないことの証明書」だけで済むように改正されるケースも増えてきています。「身分証明書」の交付もタダではありません。1通300円が必要です。お客様に無駄な出費をさせないよう、注意しなければならないわけです。

ところで、旧民法では、禁治産者・準禁治産者の宣告を受けた方たちを「無能力者」と称していました。しかもそれらの事実がないことを証する書類が「身分」証明書。差別的な臭いがプンプンして前時代的ですよね?「言葉狩り」がお好きな「有識者」の方々は黙っていないでしょう。成年後見制度に代わったのは、この辺の事情があるのかも知れません・・・


 

 

 


祝自宅購入(私ではなく知人のですが・・・) でも不動産登記って分かり難い [その他法律の話]

先日、久々に会った知人たちと呑む機会がありました。
そのうちの一人が、私よりもかなり年下の方なのですが、結婚・長男誕生を機会にマンションを購入したとのことで、その話題が酒の肴になったのです。本人は当初、一戸建てを希望していたようですが諸般の事情から川崎市内のマンションということになったようです。
とにかく「やたらと書類を書かされて、ハンコを押した」というのが、金融機関で手続をした際の感想だそうです。
私は行政書士を開業するまで司法書士事務所に補助者として勤めていましたし、司法書士の勉強もしていました(恥ずかしながら、あきらめて行政書士を開業したのが実情です)。
いわゆる自宅購入の決済、金融機関で不動産の所有権移転・抵当権設定の場に居合わせる機会も結構ありました。決済当日の朝、法務局(登記所)に登記簿の閲覧ないしは謄本を取得して権利の移転・設定に問題がないかを確認して事務所に連絡、関係者が列席し、司法書士の先生が申請書類の確認等を行っている金融機関に向かい、決済終了後、書類をもって登記所に申請に向かう。というのが日常でした。事務所に勤めた1年目~2年目は事務所にいるよりも登記所や金融機関を回っている時間の方が確実に長かったのですから。現在ではコンピュータ化され、システム化された登記所の管轄不動産は、全国どこでも全部事項証明書(登記簿謄本)が取得できるようになりましたが、当時はまだコンピュータ化された登記所の数も少なく、オンライン化されていませんでしたし、帳簿式の登記所については当然に、その管轄登記所に行かなければ謄本も取得できない時代でした。日々、朝から現場直行(直帰というのは書類を持っている限りまずあり得ませんでした。)

話が少し横にそれてしまいましたが、知人の彼の話は、何かの事情で自宅を処分しなければならない事態が生じた際に、当然建物は年数の経過にともなって価値は下がるわけだけれど、土地は(バブル崩壊後の下落は別として)そんなに価値は下がらないので、やはり土地付一戸建ての方が良いのかな、というような展開になりました。そこで
「そういえば、よく分からないんですけど、マンションの場合、底地の権利(所有権)ってどうなってるんですか?部屋を持ってれば当然権利があるはずですよね?」という質問。
「普通はあるよ。」
「でも、もらった「権利書」とかの書類って、建物だけだった気がするんですけど・・・」と不安げな表情。一応、マンションの権利関係の話については(酒も入ってたし)つたないながらも説明してみたのですが、彼は本当に納得したのでしょうか・・・

マンションなどは登記上「区分建物」と称されます。登記簿上、建物全体については「一棟の建物」、各部屋については「専有部分の建物」として表されます。
通常は底地についても(通常は部屋=床面積の広さに応じて)持分があるはずです。
本来は「専有部分」の権利内容の登記に変動があれば、底地の持分も変動し登記されます。ですが大きなマンションになると、これをいちいち登記するとなると大変なことになります。
100部屋近くあれば、「専有部分」の移転・設定などの登記が為されれば、土地についても「××持分移転」「××持分抵当権設定」の登記が、その分だけ、されることになります。
土地の登記簿は1筆ごとに調製されますし、従来は文字通り、登記簿という「帳簿」だったのですから、えらく分厚くなってしまいますよね。それに登記簿は「紙」でしたから物理的にボロボロになっていくわけで、必要に応じて登記所では現在有効な登記内容だけを新たな用紙に「移記」して調製し、磨耗した用紙を「閉鎖」する手続を登記法の規定により行いますが、それでも大変だったわけです。
そこで現在では殆どの分譲マンションなどの区分建物の底地については「敷地権」という制度が採られています。
底地の登記簿には、その区分建物の敷地権とされた旨の登記がされ、建物については「一棟の建物」の表題部(建物の物理的な状態を登記する部分。ちなみに所有権などについては「甲区」、抵当権などの担保関係については「乙区」に登記がされます)の「敷地権の目的たる土地の表示」の部分に、その底地の所在・地番、地目、地積(何㎡あるか)が登記され、「専有部分の建物」の表題部の「敷地権の表示」の部分に「敷地権の種類」(所有権が殆どですが)と「敷地権の割合」、そして何時、敷地権化されたのか原因と日付などが登記されるわけです。敷地権の登記が為されていれば、「専有部分」の権利関係に変動があり、権利の登記がされた場合、底地についても変動の登記があったものと「みなされる」わけです。
そうすれば事務的にも楽になるわけです。但し、「専有部分」の所有権移転登記を申請する場合に、不動産の価格に応じて(通常は収入印紙などを貼付して)納める「登録免許税」は、底地についても敷地権の割合に応じて算定し納めなければなりません。(当然ですかね)

この辺りを彼にも説明したのですが、酒もすすみいつしか話題は、楽器談義(彼はギター、私もベースを弾くので)音楽談義に・・・
彼はパープル派、私はツェッペリン派、彼が好きなジャーマン・メタルとかは私は全然駄目なので、

ライヴ・イン・ジャパン

ライヴ・イン・ジャパン

  • アーティスト: ディープ・パープル
  • 出版社/メーカー: ワーナーミュージック・ジャパン
  • 発売日: 2005/06/22
  • メディア: CD

伝説のライヴ -How The West Was Won-

伝説のライヴ -How The West Was Won-

  • アーティスト: レッド・ツェッペリン
  • 出版社/メーカー: ワーナーミュージックジャパン
  • 発売日: 2003/06/11
  • メディア: CD
好みは合わないのかと思いきや、「シン・リジィ」の話題で盛り上がりました。

ベスト・オブ・シン・リジィ

ベスト・オブ・シン・リジィ

  • アーティスト: シン・リジィ
  • 出版社/メーカー: ユニバーサルインターナショナル
  • 発売日: 1998/03/11
  • メディア: CD
まさか彼が「シン・リジィ」のファンだとは。私もバンド(社会人バンド、「オヤジ・バンド」ってやつね)で何年か前に「シン・リジィ」の曲やったな。
で、彼は納得したのかな?とにかく、「不動産登記」って難解ですよね。

 

 

 


続・警察署も「お役所」の一つです [色々な許認可についての話]

私の警察署デビュー(危ない表現だな)は行政書士登録・開業して1年ほどたったときでした。麻雀店の変更手続の依頼があり、お客様の元を訪問したうえで、必要書類を作成・取得し、の担当者の方に電話をし、所轄の警察署に伺いました。1階の受付で部署を指示され担当者の方の所へ、部屋の入口で名前と来意を告げると、担当者の机の前に案内されました。そこで担当者の方が用意してくださった折りたたみのパイプ椅子に座り、担当者の方と「対面」で書類のチェックが始まりました。一つずつ「これは××」「はい、そうです」「これは××ね」「はい、そうです」、といった感じで。事前に電話で打ち合わせていたこともあり、書類に問題はなく、受付印が押印された副本を交付してもらい無事終了。こうしてデビューは、何となく淡々進んだような印象でした。

PARTⅡ たまたま、同じ月にもう1件、風営法の営業開始の届出の依頼がありました。こちらは申請者の方が同席した方が良いと判断し、最寄の駅で待ち合わせ、届出先は大崎警察署でした。2回目は、さすがに繁華街である五反田を所轄するだけあって、何から何まで違ってました。まず受付で来意を告げるとプラスチック製のプレートを渡され、署内を移動する際は必ず着けるよう指示されました。以前の勤務していた司法書士事務所で、金融機関の本店などに書類を預りに行く際にこうしたプレートを渡された経験はありましたが、まさか警察署で(一応行政書士の徽章=バッジを着けて行ったのですが)・・・人の出入のかなり多いのでセキュリティの問題なのでしょうね。さらに指示どおり担当部署に伺うと、そこには風営法の申請・届出用のカウンターが設置されており、担当者が奥から出てらっしゃるのを待つ、という状態でした。都庁などに行った際のような、まさに「許認可申請」という感じで書類のチェックを受けました。やはり繁華街を抱え、申請・届出の件数が多い警察署の場合は、このようなスタイルを採らないと処理しきれないのでしょうね。書類の審査は問題なく終わりましたが、届出が風営法改正後の新規定に基づくものでしたので、あとは改正法の注意事項、というか、心構えといいましょうか、訓示を賜り(ひたすらうな垂れて、ご拝聴しました)、届出手続は終了しました。ひたすら恐縮、圧倒されましたが、所轄の警察署によって、こんなにも違うものなのか、と良い勉強になりました。

そして、忘れられない経験をしたのが、その翌年の夏です。行政書士の業務にも慣れ始めた頃、古物商の許可申請の依頼がありました。お客様の話を伺い、いくつか確認したい点があったので、所轄警察署に電話をし、担当者の方と打合せをしたい旨を告げ、日時を設定しました。その際に担当の方が、「一応来る直前にも一度電話をしてくれます?急に『現場』に出ることになるかも知れないから」と仰りました。電話を切った後で私は「は?・・・『現場』?」と疑問に思いましたが、とりあえず約束の当日、移動し、最寄駅から電話で担当の方がいらっしゃることを確認、所轄警察署に向かいました。1回目と同じような感じで、担当の「生活安全課」の部屋に伺い、担当者の方と名刺を交換。担当の巡査長さんはフランクな感じの方で「へー、行政書士さんね」その後で同僚の方に尋ねました「今、取調室空いてる?」私は心の中で自問、『は?取調室?い、今、取調室、って言わなかった?』「あ、空いてる?分かった、じゃあ×番使うわ、じゃあ、こっちで」聞き間違えではありませんでした。私は『取調室』に案内されました。さすがにドラマのように、別の机で聴取内容を記入する方はいらっしゃらなくて、担当の巡査長さんと2人だけでしたし、カツ丼も出ませんでしたが、かなりイレギュラーな体験。机を叩かれることもなく、打合せ自体はスムーズに進み、後日書類を揃えて、お電話をしたうえで、申請に伺う、ということになりました。あらためて頂いた名刺を見てみると「ピーポくん」の横に「警視庁××警察署生活安全課 防犯係 巡査長」の文字。そうか『新宿鮫』の鮫島警部と同じ部署か・・・事件『現場』にも出られるわけね・・・・

新宿鮫

新宿鮫

  • 作者: 大沢 在昌
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 1997/08
  • メディア: 文庫

本当に気さくな感じの巡査長さんでしたが、『現場』では変わるんでしょうね。別なシチェーションで、っつーか本来の目的(?)で一緒に取調室には入りたくないと思いつつ、警察署を後にしました。

数日後、現場ではなく署内にいらっしゃることを確認の上で申請に伺いました。書類のチェックはもちろん「取調室」です(笑)もう免疫ができてましたので。ただ、約束の時間に伺ったところ、取調室が使用中ということで「会議室」で待たせていただきました。「書類の審査も、この会議室でやってもらえないかな・・」と思いつつ(笑)そして取調べ後の「取調室」で無事書類のチェック終了、1階の納付窓口で審査手数料を支払い、再び担当部署へ。許可が下りるまで日数はかかるのですが、手続は一段落。担当の巡査長さんにご挨拶して警察署を出ました。中々、取調室に入る機会なんてありませんよね。行政書士でなければできない貴重な体験でした。

まだ新宿署には申請業務で行く機会はないのですが、何てったって日本有数の繁華街ですから、許認可については専用の窓口があるのでしょうね。それに鮫島警部が(そもそも警部は本来係長クラスですもの)許認可申請の書類審査をする姿は想像できません。

 


警察署も「お役所」の一つです(笑)~序章~ [色々な許認可についての話]

別に警察に喧嘩を売ろうとか、誹謗中傷しようと言うわけではありません念のため。前回ご紹介した「探偵業届出」、これは営業所所在地の所轄警察署長を経由して各都道府県の公安委員会へ届出ることになります。ちなみに実際に届出の窓口となるのは各警察署の「生活安全課防犯係」です。前回と多少リンクしますが、大沢ファンならピン!、ときませんか?「生活安全課」といえば、「新宿鮫」こと鮫島警部の所属する部署ではありませんか。
新宿鮫

新宿鮫

  • 作者: 大沢 在昌
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 1997/08
  • メディア: 文庫

実は所轄警察署が窓口となっている許認可・届出手続は結構あるのです。「官公署に提出する書類」の作成等を行うのが行政書士の業務ですから、関わりは薄くはないのです(喧嘩を売るなんてとんでもない )。

まず、一般的なのは、いわゆる「車庫証明」の取得手続です。その流れというか、交通整理をしている「お巡りさん」からイメージしやすいのが「道路使用許可申請」。工事やお祭りなどのイベント、屋台、映画やTVのロケなどの際に許可が必要となります。紛らわしいのが「道路占用許可」。一定の工作物・施設などを設置してある程度継続的に道路を使用する場合はこちらの許可が必要で、申請先は警察ではなく国または各地方自治体になります。

それから「風俗営業の許可」。ただし、一般の男性諸君がイメージする「フーゾク」とは違いますいわゆる「風営法の許可」はお客さんに接待飲食を提供するものか、パチンコ店・麻雀店などの遊技場を営業する業務になります。それから、居酒屋でいい気分になって呑んでいると11時過ぎには「ラスト・オーダーです」って店員さんの声がかかる、って経験皆さんお持ちですよね?普通の居酒屋などの飲食店業は保健所の許可だけで済むのですが、午前零時過ぎからお客さんにお酒を出す場合は「深夜における酒類提供飲食店営業開始の届出」を警察署(を経由して公安員会)に届出ておかなければなりません。そのため、12時までしか営業しない居酒屋も多いわけです。

他には警備会社を始めるときの「警備業の認定」申請、中古車販売や古着屋、ケースによっては廃品回収業を始めようとする際の「古物商の許可」(盗品対策のため)など。所轄の警察署を経由してしなければならない手続はかなりあります。6月からは、ここに「探偵業の届出」も入るわけですね。

善良な一般市民は、なかなか警察署に足を運ぶ機会はないわけで(あったとしてもできるだけ少ない方が良いですよね)すが、そこで、その貴重な体験を、行政書士としての守秘義務に反しないように、書いてみたいと思います。

~つづく~

 

 


感傷の街角に立つディテクティブ~ついに日本の探偵さんも「ライセンス」制に~  [その他法律の話]

平成18年6月2日に成立し、同年6月8日に公布された「探偵業の業務の適正化に関する法律」が、来月・平成19年6月1日から施行されます。探偵業を営んでいる者は、営業所毎に、都道府県公安委員会へ届出が必要になります。経過措置として1ヶ月の猶予期間がありますが、無届けの「探偵さん」は処罰の対象になってしまいます。

大沢在昌さんの作品の中で「こっちは取消されてこまるようなライセンスは持っていない」というような台詞(独白?)があったような気がするのですが、日本でもそうはいかなくなりましたね。

先日の愛知県長久手の立て籠もり事件をはじめとする、一連の銃器犯罪は当然許せないものです。ですがが、男の子(というにはもう無理があるかな)は「てっぽう」=銃器には少なからず興味があるもので、当初は良く分からずに、ミステリー、冒険小説(「バイオレンス」ものと「ハードボイルド」の区別もつかず)を読み漁ってましたね。そんな高校時代に、出会ったのが大沢在昌さんでした。最初に読んだのは「ジャングルの儀式」

ジャングルの儀式 (1982年)

ジャングルの儀式 (1982年)

  • 作者: 大沢 在昌
  • 出版社/メーカー: 双葉社
  • 発売日: 1982/01
  • メディア: -
この作品では銃の描写とかも良かったんですが、何となく作風にも惹かれました。それから大沢先生の他の作品も読むようになり、そしてデビュー作の「感傷の街角」で本格的にハマってしまいました。
感傷の街角

感傷の街角

  • 作者: 大沢 在昌
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 1994/09
  • メディア: 文庫
いわゆる当時の日本の「探偵もの」「ハードボイルド」っていわれるヤツにいまいち違和感を感じていた私としては。もう衝撃的でしたね。主人公が法律事務所の調査部門の「失踪人調査士」という設定、日本において嘘っぽくなりがちな単なる「私立探偵」でないところが、今見ても秀逸な設定だと思います。そして枯れた男の世界とも、青臭い少年とも違う、その間の微妙な何とも表現のしようがない、センチメンタリズム。やられていまいました。
ただ、当時は、失礼な言い方ですが、大沢先生は「初版本作家」と陰口を叩かれていた不遇時代で、特に田舎では作品が入手しにくくて、特に最初の長編だった「標的走路」は、当初は出版社が別だったせいもあって(当時はネット社会じゃないしね)中々見つかりませんでした。このエピソードの話題が他の短編の中でも語られるのに・・・ようやく上京した後で都内の古本屋で入手しました。
標的走路

標的走路

  • 作者: 大沢 在昌
  • 出版社/メーカー: 文春ネスコ
  • 発売日: 2002/12
  • メディア: 単行本
「佐久間公」シリーズは一旦「追跡者の血統」で青年編(?一人称「ぼく」のバージョン)は終了します。大沢先生自身が主人公・佐久間公との間でギャップが出てきたのでいずれ、改めて再開するとあとがきで書かれていました。
追跡者の血統

追跡者の血統

  • 作者: 大沢 在昌
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 1996/10
  • メディア: 文庫
その後先生は「新宿鮫」シリーズなどのヒット作を執筆されご活躍されました。その後も私は良く「佐久間公シリーズ」は再読しました。面白い探偵ミステリーは結末が分かってても何度読んでも面白いんですよね。あとがきを見るたびに、「本当に再開するんかいな」と思ってました。「カムバック」って劇的ではありますが、裏切られるケースも多いですからね。「続・××」「××PARTⅡ」ってヤツで面白いのって殆どないもの。
そこで「雪蛍」、帰って来た佐久間公!
雪蛍

雪蛍

  • 作者: 大沢 在昌
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1999/03
  • メディア: 文庫
期待以上でしたね。購入した日に一晩で読みきりました(途中何度か泣きながら)。佐久間公はやはり佐久間公のままでした。大沢先生はご多忙なのでしょうが、「心では重すぎる」以後の続編も期待しております。
心では重すぎる

心では重すぎる

  • 作者: 大沢 在昌
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2000/11
  • メディア: 単行本
最初の話題に戻りますが、「個人情報保護法」に続き、「探偵業の業務の適正化に関する法律」の施行で、実際の「探偵さん」だけではなく、「探偵小説」の世界も変わることになるんでしょうね。
ちなみに「探偵業の届出」は、「公安委員会」とありますが、実際の手続としては、営業所毎に所在地を管轄する警察署を経由して届出ることになります。「届出をしたことを証する書面」は事務所に掲示しなければならず、営業内容の変更・廃止についても届出が必要です。また、依頼者と契約しようとする時は、予め書面を交付して重要事項について説明する義務を負います。従業員名簿の備付け、社員教育を行う義務も生じます。
どうでしょう?探偵の方々(既に探偵業を営んでいる方は1ヶ月の猶予期間あり)、これから探偵業を始めようという方、手続のご相談に乗ります。
追伸:ネタではなく、本気で届出手続を考えられている方(都内、川崎市、横浜市)、宜しければホームページの方ものぞいてみてください。 
 
 


電子定款 続オンライン申請と代書屋稼業その2 [電子申請の話]

前回の続きなのですが、 実は今年(平成19年)4月1日(日曜だったので実質は4月2日)より、定款の電子認証のシステムが変わりました。

今までは、FDに定款の内容と作成者(行政書士)の「電子署名」のデータを入れて公証役場へ、発起人(設立者=会社のオーナーさんですね)からの委任状、印鑑証明書とともに持参し公証人の電子認証を受けたFD、プリントアウトした謄本を持ち帰る、という形式でした。

それが、法務省のオンラインシステムに登録(当然IDも取得)し、システム上に定款と「電子署名」の情報を送っておき、到達を確認したうえで、公証役場へ委任状、印鑑証明書、空のFDなどの記録媒体を持参し、電子認証を受けた定款の情報を空の記録媒体に記録したものを受取る、という形式になりました。法務省のシステムに到達すると、公証人の手元にはすぐその情報は届くようで、情報の入ったFDを預ってからシステムにアクセスするよりも処理は迅速になるのでしょうが、認証を依頼する側としては何だか前より面倒になったような気がします・・・

4月当初の新システム施行直後は法務省のオンラインシステムはパンク状態だったらしいです。現在では解消されているようで一安心です。

この法務省のオンラインシステムは元来、会社の登記及び不動産登記の申請をオンラインで行うためのもののようです。近い将来はいわゆる不動産の「権利書」ってやつがなくなるようなことも言われていますね。この話題も近々書いてみたいと思っています。どこまで行くのかな「電子政府」って・・・


電子定款 続・オンライン申請と代書屋稼業 [電子申請の話]

前回の内容とも一部かぶりますが、先週末から今週月曜日にかけては、株式会社の設立手続で、会社の根本規則である「定款」を作成し、「電子公証制度」を利用し公証人の認証を受ける手続のため、バタバタとしていました。

会社を設立するためには本店所在地を管轄する登記所に会社設立の登記をしなければなりません。会社設立に必要な書類の作成も行政書士の業務の一つです。ただし面倒なことに、書類の作成はできるのですが、「登記の申請」は「司法書士」でないとできないのです。一般の方には行政書士と「司法書士」の区別というのも分かりにくいかもしれませんが(ちなみに私は行政書士開業までは司法書士事務所に勤務してましたし、現在も司法書士との「合同事務所」という形式をとっています。)、一部業務内容がカブるわけです。

話が少しそれてしまいましたが、とにかく、設立登記申請の大前提として、会社の根本規則である「定款」を作成して、公証役場で公証人の認証を受けておかなければならないのです。ちなみに通常は定款は3部作成し、認証後1通は公証役場で保管、1通は会社で保存、1通を設立登記の申請書に添付することになります。この際には公証人への手数料、謄本(登記申請書に添付するため)交付手数料、定款に貼付する印紙代を含めて9万数千円のお金が必要となります。

ところが、前述の「電子公証制度」を利用すれば定款に貼付する印紙代(ちなみに4万円)が不要となるのです。定款を「書面」でなく「電磁的記録」で作成すれば(「紙」じゃないので)印紙税法の適用を受けず、4万円分安くなるわけです。ただし、そのためには「電子署名」が必要となります。

「4万円安くなるんじゃ、みんな『電子署名』を利用すればいいじゃん!」と思われるでしょうが、このシステムが利用可能な環境にするには、パソコン本体を含めないソフト代や電子署名の発行機関に納める手数料などで10万円近くかかってしまうわけです。頻繁にいくつも会社を設立される方は別でしょうが、そうでなければ導入されてもメリットがなくなるわけです。ちなみにすべての行政書士・司法書士が対応されているわけではありません。ですから私も司法書士の先生からの依頼で、(アウトソーシングですね)定款の電子認証業務を行うことがあります。また、全国全ての公証役場が対応しているわけではなく、(都内は比較的多い方ですが)地方では県庁所在地の公証役場でないと対応していない場合が多いようです。

概略としてはWordなどで作成した定款をPDFに変換し、電子署名したものに公証人の認証を受け、認証後のデータ(FDなどで)と、登記申請用にプリントアウトされた謄本の交付を受けるというものです。

ちなみに電子定款の作成・電子認証の手続のみを私に依頼した場合でも、紙の定款で全ての手続をご自分でなさった場合よりも安く済みます。興味がありましたらホームページの方をのぞいてみて下さい(ってすいませんまた営業で)


オンライン申請と代書屋稼業 [電子申請の話]

「行政書士」と聞いて一般の方はどのようなイメージを持たれるのでしょうか?数年前に行政書士を扱ったドラマが放送されたおかげで(カ×チタレ)多少は知名度が上がったかも知れませんが、年配の方などは未だに「代書屋」って言い方をされますよね(ですからブログのタイトルにしてるのですが)。文字通り役所などに提出する書類の作成・提出代行(特に許認可関係)が主な業務なわけです。

ですが、最近では許認可手続でも「書類」のみではなく、申請データをFDなどに入力したものを提出したり、申請自体をオンラインで行うケースも増えています。中には各種の証明書などの添付書類は別途郵送もしくは持参しなければならず、「『オンライン』じゃなくて『半(ハン)ライン』じゃねえか」と陰口を叩かれているようなのもありますが・・・

実際に私もお客様の依頼で(PCが苦手とのことで)、都の公共入札のためのオンライン申請を、お客様の事務所に出向いて、お客様のPCで行ったことがありました。当然、行政書士の義務というか、常識の問題で、IDとパスワードを入力する場面では席を外すようにしました。

ちなみに行政書士法は改正で条文の第1条の2の「書類の作成」の部分にカッコ書きで「その作成に代えて電磁的記録云々(要するにデータの作成)」の文言を入れてデータを作成することも行政書士の業務であるとしました。

色々と問題も多いオンライン申請ですが、お国は「電子政府」とやらを推進するようで、行政書士業も変革のとき、なわけです。


ブログはじめました [日記・雑感]

「ブログはじめました」ってキミ「冷やし中華はじめました」じゃないんだからって自分で突っ込み入れてみますけど もうブログなんて当たり前のこのご時勢、典型的な文系人間で機械オンチの私ですが、時流に乗り遅れまいと、今年3月にホームページを開設(許認可など行政書士の業務に興味のある方はこちらからのぞいてみてください)し、この度ブログの方もはじめてみました。

これから行政書士の仕事をしながら気になったことや、個人的な趣味のことなどを「徒然なるままに、そこはかとなく」書き連ねていきたいと思っております。(それからプロフィールの写真をはじめ、ページのレイアウトもキチンとしていきたいです。とりあえず愛器の写真を貼っておきます。)

 


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