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戸籍謄本の取得~相続手続の話その3~ [相続手続の話]

 相続についての話の続きです(何か書くことが多くて3回目になってしまいました)
 件の相続のお客様から、現在の戸籍は揃えたけれど、古い戸籍については費用がかかっても良いから取得して欲しい、とのことで、ひとまず書類をお預かりしました。
 戸籍についても、現在はコンピュータ化され「全部事項証明書」という形式になった自治体も多いようですし、帳簿式のものでも最近のものは内容が読みやすいのですが、これが遡っていくと段々と「古文書」の世界になっていくわけで(^_^;)年号も「明治」から「慶応」とか「嘉永」とか・・・歴史好き・古文書好きな私は割りと楽しんで「古文書の解読」に勤しむわけです(^_^)
 本人の記載の部分と、最初の部分を読めば経緯は判読できるので、それを順に追って管轄する自治体に郵送か、直接窓口に出向いて請求することになります。

 今回の場合、とりあえず近くの役所の窓口で取得できそうなので、直接窓口に出向くことにしました。
 さて、ここで戸籍を遡って取得していく場合、無駄を省いて迅速に取得するにはどうすべきでしょう?
 答えは簡単、「役所に事情を説明して、お願いする」のです(^_^)
 「相続の手続のために戸籍を集めています、お手数ですが、こちら(の役所の窓口で)取得できるものすべて、お取りいただけませんでしょうか?」と(出来る限り低姿勢でね(^_^))お願いするわけです。
 大体は「お時間かかりますが宜しいですか?」と、余程不親切な役所でない限り対応してくれます。結構窓口で待つことになると思いますけれど。
 郵送の場合は、料金として定額小為替を同封して申請するのですが、資料として現状の戸籍のコピーと、同様のメモに、「不足が出るようでしたらご連絡下さい、不足分の定額小為替は至急送付させていただきます」と書き加え、連絡先を記載しておけば、対応してくれます。幸い、今のところ「シカト」されたことはありません。

 今回は、1箇所で出生からの除籍謄本・改正原戸籍謄本が取得できました。
 お客様に連絡し、当事者の方々に事務所に集まっていただき、遺産分割協議書と司法書士への委任状に署名・捺印をいただき、書類を取り纏め司法書士の先生に連絡。翌日に登記申請、1週間後には登記完了。無事業務は完了いたしました。


相続手続の話・その2 [相続手続の話]

 前回の続きです。
 必要書類の一覧表と名刺をお渡しし、連絡先のメモを頂いた数日後、お客様から携帯に電話をいただきました。曰く
「権利書がないんだけど・・・」
 守秘義務に反しない範囲でお話すると、今回の被相続人となられる方は前回、親御さん名義だった土地を、他のご兄弟たちと3分の1づつ相続されており、その土地について売買の話が持ち上がっているので、共有者である、他のご兄弟たちから、「早急に相続登記手続きをして欲しい」と言われた、とのこと。
 よくよく話を聞くと、そのお客様は、「土地の3分の1についての権利書」を持っていたはず、と思っていらしたようなのです。
 このブログの別の項目でも書きましたが、不動産登記法が改正され、「登記識別情報」というシステムが導入される以前は登記完了後には「登記済証」(「権利書」ないし「権利証」というのは正式な名称ではありません)が交付されていました。
 このケースでは、おそらく3人連名で「3分の1づつ相続する」という内容の登記申請書の副本に
 このような「受付印」が押されたもの1通が「登記済証」として交付されたはずです。3人の名前で登記したから、3人それぞれに「登記済証」=権利書が交付されるわけではない、というのが、当時の不動産登記法の仕組みです。
 以前にこのブログでも書きましたが、「登記済証」=権利書という紙自体の上に「権利が載っている」のではなく、権利書だけがあっても、本人の意思の確認(通常は実印の押印・印鑑証明書の添付によります)ができなければ権利の移転・処分はできないので、名義人の誰か一人が代表して持っていても、実印・印鑑証明書の管理さえしていれば勝手に処分はできません。おそらく兄弟のどなたかがお持ちになっているはずです。

 その旨を説明し、登記簿謄本は手元にないか伺うと、それもない、とのこと費用がかかっても構わないのであれば、こちらで謄本は取得します。と伝え、ご了承いただきました。
 ちなみに、今回の相続の手続に「権利書自体」は不要であることは最初に伝えてあります。繰返しになりますが、相続登記以外の通常の所有権移転登記に権利書=登記済証を添付するのは登記されている人間と、その権利を失う人間の同一性の確認と、その意思を申請の時点で確認するためのものです。相続登記の場合、「申請時の意思の確認」をしようにも、当事者=被相続人は、この世にいらっしゃらないわけですから(少々不謹慎な発言でしょうかm(__)m)不要なわけです。
 但し、被相続人の方の登記上の住所と死亡時の住所が繋がらない(その間の「繋がり」を証明する住民票の写しが添付できない)場合などには登記済証のコピーを提出する必要も出てきますので注意が必要です。

 「面倒臭いんだね~」とお客様のお言葉、同感です。でも面倒くさいからこそ、我々代書屋には「メシの種」なわけで(^_^;)
 不動産の謄本はこちらで取得して、分割協議書の作成にかかり、あとは戸籍謄本が揃えばひと段落となります。


相続手続の話 [相続手続の話]

 先日、相続手続について相談のお客様がいらっしゃいました。
 ご存知のとおり、相続の「登記」手続の代理は司法書士でないと出来ません。また、法的に争訟性を帯びているならば弁護士に依頼するべきです。
 但し、当事者間ですでに、相続財産等の処分について話し合いがついており、その内容を「遺産分割協議書」として作成し、相続手続に必要な書類の取得をすることは行政書士の業務範囲内です。
 その旨をお客様に説明し、こちらで作成・取得した書類に基づいて司法書士に登記手続を依頼する、という形式を採ることで納得いただいたので手続に入ることになりました。
 登記については、私が以前居候させていただいていた司法書士の先生に申請をしていただくことにしました。

 まず、お客様に用意していただいく書類について、一覧表を印刷してお渡します。
(1)被相続人(亡くなられた方)については
 ①出生から死亡までの戸籍謄本②死亡の記載のある住民票の写し
(2)相続人の方々については
 ①全員の戸籍謄本②全員の印鑑証明書③今回不動産の名義を取得される方の住民票の写し
(3)当該不動産の登記簿謄本又は登記済証(権利書)のコピー
以上が最低限必要な書類となります。

 まず(1)については登記上の名義人の方が死亡した事実と今回遺産分割協議に参加した方々以外に相続人となるべき者がいないことを証明するために用意します。
 (1)②については同世帯の方、全員が亡くなられると当該住民票は除かれるため「除住民票の写し」が必要となります。また「除住民票」の保存期間は5年間と定められていますので、諸事情で相続の手続が遅れたために保存期間を経過し取得できない場合は他の証明書類を用意しなければなりません。
また、以前のブログでも書きましたが、「住民票」自体は各自治体で管理されているもので、一般に交付され、通常「住民票」と称されているものは正式には「住民票の写し」と言います。末尾に「この写しは、住民票の原本と相違ないことを証明する。」と書いてあるでしょう?
でも混乱を避けるために、私も通常は「住民票」て言ってます。以前、お客様に「住民票の写し」と言って「住民票の写しのコピー」を持ってこられたことがあったので(^_^;)
 話が逸れてしまいましたが、本題に戻って被相続人の戸籍謄本について。これは原則出生から死亡時までの記載のあるものを用意します。何らかの事情で転籍等があれば転籍・除籍前の謄本、改正原戸籍をすべて揃えなければなりません。戦災などで記録が消失しているならその証明も必要です。最低でも13歳くらいからの記載があるものが必要です。これはいわゆる「婚姻外の子」などがいないという事実を証明するために、一般的に生殖能力を有するとされる年齢以降についての記載が必要なわけです。
 この点についてお客様に説明すると中には「そんなのいるわけねぇだろう!」と語気を荒げる方もいらっしゃるのですが、法で定められたものですから、私に向かってお怒りになられても・・・不愉快な思いはごもっともですが、「ない」というなら、その事実は書面で証明しなければならないのです(T_T)
 そして(2)の①、これで(1)の①と併せて、本来、被相続人=亡くなられた方の財産等について法律上、相続すべき人間(=法定相続人)が誰と誰であるか特定するわけです。
 そこで、法定相続人の間で、どのような割合で財産等を受け継ぐのか、という問題。
 「相続分」というのは法律で「法定相続分」というのが定められています。配偶者(奥さん・旦那さん)が2分の1、残りの2分の1を子供の人数で按分、というのを聞いたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
 「法定相続分」に「特別受益者」、「寄与分」、それに「法定相続人」以外に財産の全てを譲るというような遺言が出てきた場合の「遺留分」など、とてもここでは説明しきれませんし(T_T)拗れてくれば、前述のとおり、これはもう弁護士に依頼するしかないでしょう。 
 民法では907条で「被相続人が遺言で禁じた場合を除き、共同相続人はいつでもその協議及び分割をすることができる」と定められています。
 法定相続人全員で話し合いがつけば(遺言で禁止等されていない限り)、法定相続分等の規定に拘わらず、財産の処分は可能なわけです。協議が整えば、通常「遺産分割協議書」を作成します。そこには法定相続人の署名・押印(いわゆる実印)が必要であり、全員の印鑑証明書を添付します。前にも書きましたが、「ハンコ社会」の日本では実印+印鑑証明で本人の意思は(強力な反証がない限り)証明される、という取扱なわけで、そこで(2)の②の全員の印鑑証明書が必要なわけです。
 そして分割協議書には取得される財産について特定した記載をしなければなりません。そのために不動産の謄本か権利書のコピーを見せていただいて、登記簿の記載どおりに「不動産の表示」を記載した遺産分割協議書を作成するわけです。

~つづく~
 


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